会長挨拶  福岡県立学校事務職員協会 会長 佐伯 伸

県鳥「ウグイス」

 今年度、武田前会長の後任として会長に就任しました佐伯と申します。どうぞよろしくお願いします。

 5月に「平成」から「令和」へと元号が変わりました。「初春の令月にして、気淑(よ)く風和らぎ、梅は鏡前の粉(こ)を被(ひら)き、蘭は珮後(はいご)の香を薫(かをら)す。」
 梅の開花と春の訪れを喜び詠まれた万葉和歌32首につけられたこの序文が新元号の由来だそうです。和歌が詠まれたのは今から1300年前の奈良時代。作者ではと言われる大伴旅人は、大宰師(大宰府の長官)として筑紫に滞在したこともある歌人。同じ福岡県に住む私たちにとって、「令(とてもよい、めでたい)」の元号への採用に何か吉兆めいた「縁」を感じ、喜ばしいかぎりです。ぜひ「和」をもって争いのない平穏な時代になってほしいものです。

 さて昨年夏は西日本豪雨災害と記録的猛暑の対応に追われました。今年は、平年より少し遅い梅雨明けでしたが、ほっとしたのも束の間、8 月末に秋雨前線の影響で北部九州に記録的大雨が降り各地で浸水被害が発生し全国ネットで放映されました。被災された方々には心からお見舞い申し上げます。最近は「記録的短時間」「特別警報」「線状降水帯」「避難指示」「警戒レベル4」といった生死にかかわる気象・災害用語を頻繁に見かけるようになりました。また天候不順により記録的豪雨が突然発生することも多いことから、通学生徒の安全確保のため、気象情報から片時も目が離せなくなりました。

 次に社会に目を向けますと、少子高齢化に伴う人口減少と過疎化が更に進み、人手不足が深刻になりつつあります。その影響もあってか、ついに高校新卒の求人倍率が大学新卒の求人倍率を抜きました。また学校現場においては、「当たり前」と思われていた事が、「当たり前」ではなくなってきました。私費会計、指定物品、PTA や同窓会といった任意団体、朝課外等、それら経費の適正な管理は「当たり前」ですが、今やその制度や対応がマスコミに取り上げられ、SNS で要不要、善し悪しの議論がなされます。40年前、県立高校の生徒でそれを「当たり前」と信じていた私には衝撃以外の何者でもありません。これからの学校は、様々な価値観を認める「多様性」や「選択肢」が求められ、経緯の「透明性」に加え、内容の報告と責任を負う「説明責任」が要求されます。今後これまでのセオリーが当てはまらない、正解のない世界に近づくと言われています。個人の資質として「正解がない事態に耐える力(ネガティブ・ケイパビリティー)」や、「折れない心(レジリエンス)」も身につける必要があります。

 話を少し変えますが、京都に「百味會(ひゃくみかい)」なる組織があります。100年以上つづく老舗67店舗からなる「一名物・一店」の原則の下、結成された食に関する交流会です。京都ではなじみ深い、八つ橋(聖護院)や羊羹(とらや)といった有名店ばかりです。 今年8月にNHK で放映されましたので、ご覧になった方も多いと思います。あこがれのブランド店ばかりで経営に何の不安があろうかと一見思いますが、番組の中では、京都に押し寄せる外国人客の足が老舗に向かず、店の将来への危機感から、新しいスタイルで外国人客や新しいお客を呼び込み「のれん」を守ろうとする若社長と、昔ながらのやり方で伝統の「のれん」を守ろうとする先代社長(父親)との確執が描かれていました。「不易(ふえき)か、流行か」「(時代の流れにかかわらず)変えてはいけないもの」と「(時代の流れに寄り添い、時に時代の先を読み)変えなくてはならないもの」を考えさせられる番組でした。

 戦後まもなく産声をあげた福岡県立学校事務職員協会ですが、名称や組織を変えながら今年で71年目を迎えました。そして今春も多数の若い新規採用者を迎えることができました。組織としての「新陳代謝」が進む中、若い会員の皆さんにとって仕事と人生(ライフ・ステージ)のモデルでもある中間層・先輩職員の不在は、具体的目標を見失い、身近な相談者の不在を意味するものかもしれません。是非、各地区での研修会や協会活動に参加して、よきモデルやよき相談者を見つけていただきたいと思います。そして新しい感性を吹き込んでいただきたいと思います。来年6月には、本県での10回目となる、第68回九州協議会研究大会を福岡市で開催します。新しい元号の下、新しい時代にふさわしい研究大会となりますよう皆様のご協力をよろしくお願いします。

福岡県の花「梅」